カムダス☆ドロリス

エッセイといふものに憧れたオタクの成れの果て

またしても、転勤

先日、静岡東部から西部へ引っ越しました。お仕事の都合です。
といっても私は東海を渡るしがない派遣社員なので、立派なお仕事で転勤をしてるわけではありません。
昨年末から働いてた派遣元の会社の闇を知ってしまったので、派遣元を変えたい一心でほぼ無理矢理転勤したのです。

派遣元を変えたいのはもちろんですし、表ではそれが一番の理由だと言ってはいるのですが、本当の一番の理由は別にあります。
それは、相方が西部に住んでるから。
東部や愛知県にいる時から会いに来てはくれてたのですが、本音は「近くに住んでて欲しい」だったのですね。
初めの頃は私も、とにかく今のところを辞めて県内で移動できればそれでいいと思ってました。まぁ西部がいいけど、中部でもいいし、今より西よりに行けるなら東部でも大いに構わなかった(というか東部が一番富士山がよく見えるから東部が好き)。
しかし。
西部にある、相方の居住する市町村のお仕事にも応募してる旨を伝えた際、相方は電話越しでもわかる嬉しそうな声で「そうなの!?」と言ってくれたのです。
その時点でやや中部よりの西部のお仕事も話が進んでたのですがそちらは辞退することとなりました。

また、東部でのお仕事中に同じ現場・同じ班で仲良くなった方々にも西部へ移動することを考えてる、と伝えました。
するとその方々は元々その相方がいる土地で働いてたらしく、その時の派遣会社なども紹介してくださいました。

無事、相方の住む土地でのお仕事が決まったものの話を聞くにかなりキツそうなお仕事。大手ではあるものの、続かなければ元も子もない。
といいつつ迷いはなく、そこに行くと決めてました。そんな時も相方は「俺の為に無理して欲しくはない」と優しい言葉をかけてくれました。
話が進むうち、派遣元の方からもう少し簡単で身体への負担も少ない仕事を紹介していただけました。なのでそちらへ行くことに。短期ですが、そこで働いてる間に長期の仕事を紹介してくれるとのこと。
派遣会社ってそういうもの、っていうのはわかってるんですが私は住み込みで色々とワケアリなので例に漏れる可能性があるなどと考えてしまうんですよね。
考えすぎだとよく言われます、自覚はあります。

とはいえ。
無事西部へ赴任することができました。
新たな派遣元はとても対応が良く、担当さんも親切丁寧、寮も綺麗&綺麗で駅近なのに安い(窓から駅が見えるくらい近い)。短期の派遣先もとにかくしっかりした会社です。ぐうの音も出ないほどホワイト。

今回の転勤は多くの人のご厚意により実現したものです。
新派遣元、派遣先、前会社で仲良くなった方々、そしてなにより相方。
この人達へ恩返しをするんだと思えば今度のお仕事も頑張れると思います。
本当にありがたい。
ありがとうございます。

モテたので家系ラーメン

ダーツでお腹が激減りだった私と相方は、ラ●ワンに隣接されてる家系ラーメン店に入った。
時刻は二時前で店内はガラガラ。
私は通常のラーメン、相方はチャーシュー麺を頼んだ。味は、私が醤油とんこつにしたら相方がとんこつ塩にした。

相方「これで食べ比べが出来るだら」
わたし「いややんねーよ?誰がやるっつった?」
相方「もらうもーんw」

こういう鬱陶しいカップルが多数来店するんだろうな。若くてかわいいカップルならともかく我らアラサーオタクなんだけどな……。

席に着き水を飲みながら店員さんを待つ。
ギャルっぽい底抜けに明るい可愛い店員さんが食券を見て一言。

「お好みはございますか!?」

……お好み……ハッ!!
甦るTwitterでの記憶。
ちいかわの『郞』の話。ニンニクカラメ。
川尻こだまさんの家系ラーメンの漫画。
後者はつい最近見たばっかりだ。ということで。

わたし「あっあっ、全部ふ、フツウで」
相方「お?あ、俺も全部ノーマル」
店員さん「フツウで」
わたし「オナシャス」

そして両方全部フツウでオーダーは通ったのであった。
辺りからは(我々が入った直後から混んできた)「麺かため」だの「味濃いめ」だの「油多め」だののコールが聞こえてくる。
よく見たら厨房の方にでかでかと『お客様のお好みに合わせて一杯一杯作ります』との字と共に『麺のかたさ、味の濃さ、油の量』が三段階ずつ書いてあった。

しばらくしてラーメンがやってきた。
全部ノーマルで頼んだはずなのにギトギトで濃そうなブツである。ちょっと書き方が悪いが、豚骨の良い香りと菜っ葉の彩り、主張弱めのうずらの卵、つやつやの麺がとても美味しそうなラーメンである。

さっそくいただく。
うむ!うまい!やはりラーメンは醤油豚骨だ!なんというコクだ、油だ、麺の太さだ!
これは早く食べねば油が固まり、麺はスープを吸い、スープを含めた固形と化すぞ!!
と思いやや急ぎ目で食べる。
餃子もウマイ。フツウにウマイ餃子だ。
餃子のタレをベタな酢醤油ラー油で作ってたら相方が「俺餃子のタレでしか食べたことないら」と言い出したので「ラーメン屋に餃子のタレなんかないんだよ坊主」と言ってさらに胡椒と唐辛子も入れた。

食べ尽くすと、大盛りでもない具の追加もしてない普通のラーメンなのにえげつない満腹感に襲われた。

わたし「お腹いっぱいだ」
相方「俺も」
わたし「男の子だろ(急な男女差別)」
相方「本当はこの全部のせのやつにしようと思ったんたけどしなくて良かった」
わたし「よくしようと思ったな……」

さすがに全部のせは外仕事のお兄さんか部活帰りの男子高校生くらいしか食べられんだろう。

余談だが、我々より後に入った若くて可愛いカップルが隣にいた。
女子の方は本当に小柄でかなり可愛らしい感じで、家系ラーメンの店にはかなり不釣り合いたつた。オシャンなカフェでパンケーキとか食べてそうな子たったからね。
その子が、私より後に来たにも関わらず私よりも早くペロリと完食しており、もえのあずきを生で見た人の気持ちがわかったのであった。

モテたのでダーツ

LINE友達が恋人にランクアップしたのでラウン●ワンに行くことになりました。お相手がゲーム好きだったので。
彼がドハマりしてるアケゲーが置いてあるのがラ●ワンだったのでラウ●ンに行くことになったのですが、そういう施設といえばあれじゃん。
ダーツじゃん。
わたモテの喪151で、もこっちとゆりちゃんが卓球の練習をしにア●レシオへ行きましたが、似たようなものは大体あるはず。
そう、ダーツも。
というわけで私は到着前から「ダーツやろうぜ!ダーツ!やったことある?ダーツやりたい!」と騒ぎ倒しておりました。

着いてからは少し落ち着いて、クレーンゲームをやったりアケゲーを見たり(まだやらない)してたのですが「そろそろダーツやりに行こう」と切り出し、ダーツコーナーへ。

とにかくダーツができればいいのでフリータイムにもせず、ドリンクもフードも頼まずとにかく投げることに。

エリアに一歩足を踏み入れるとそこは地下のバーの一角のごときオシャンな空間。
ド初心者&カップルということで、一人でやってる人やガチの人の邪魔にならないようにということで一番奥にしてもらった。

わたし「0点目指すやつじゃないんけ?(知識すらわたモテしかない)」
相方「そういうのもあるけど…」

あるけど最初は普通に加点していくゲームをやることに。

わたし「最初は相方がやってくれ。経験者なんだろ?お手本見せてくれんと」
相方「いや経験者っても大昔にちょっとやっただけだよ」
わたし「出たよ。そういう奴音ゲとかカラオケとかで必ずおるんよ。そういう奴に限って」

そんなん言ってる間に相方立ち位置にスタンバイ。
その時点でいかにも経験者(かなりの)といった具合の立ち方、体の角度、視線、矢の持ち方etc
あ……コイツあかんやつや。
そういや来る道中、ずっと運動してたし高校時代チャリで峠超えて登校してたとも言ってたな……。

相方の投擲。
それは綺麗なアーチを描き、真ん中に近い部分に綺麗に刺さっていったのである。
なんやコイツ……?オタクのくせに……(失礼)
しかもそこそこ背あるし立ち方が綺麗だからやたらカッコ良く見えるし、これはやっちまった色々と。

ともかく私の番である。
相方の「初めてならもっと前出て投げていーよw」という煽りを受け本来の立ち位置よりやや前でスタンバイ。
スポーツなどはてんでダメだがパワーならちょっと自信がある。喪151でゆりちゃを思い出し「死ね!ザコモンスター!」と心の中で叫びながら思いっきり投げる。
三本中一本はでか目の「ドン」という音とともに刺さったが、あとの二本は板に直撃して辺りに飛散した。

相方「うん、あのさ……」

完全にドン引きの顔である。

相方「もっと半身で立つら(静岡訛り)」
わたし「半身???からあげか???(地元ネタ)」
相方「矢はこうやって人差し指と親指でつまむら」
わたし「????」

ここで相方、私の手に自分の手を重ねて持ち方を体で教えるスタイル。
半身とはいえ、別ブースでやってるガチ勢から見れば神聖なるダーツ場でイチャついてるように見えたことだろう。

相方「お箸みたいにさ」
わたし「お箸……」
相方「で、ちょっと上の方を狙って、軌道を読みながら、山なりになるように軽ーく投げればいいら」
わたし「そんなスポ魂漫画みたいなこといわれても」
相方「だからこうしてさ……」

相方、私の後ろに重なり体で教えるスタイル。
奥のおトイレや非常階段あたりにいる従業員にも、うわぁ、あのお客様密でいやがる……と思われそうなレベルである。

相方の投擲を見てれば理屈はわかる。体幹をどうするかとか、投げる際の手にかける力具合とか、見る軌道とか、言いたいことはわかるのだ。
だがそれが実践できる人ばかりではないからこそ、世の中成り立ってるというものだ。

私は半身になりつつ、立ち位置よりさらに前に立ち、「全集中!」と心の中で叫び、投擲。
矢はややアーチを描くものの途中でブレ出し、またぶつかって落ちる。三発中一回くらいは刺さる。
ファーストゲームはそんな感じだった。

何回かやるうちに私も的に刺さるようになってきた。感覚は一向に掴めずほぼ100%まぐれで刺さっていた。

その間に相方は「うーん、209点か」などと呟きだし、わざとちょっと外した場所に投げるような余裕を見せ始めた。それがわかったので私は黙ってたのだが自分から「接戦になるようにわざと外してやったんだよww」とクソイキりをかましてきた。
私はダーツを手に立ち上がり相方を指し「本気を出さなかった事……後悔するぜ!」と、ガチ勢にも聞こえるほどの声量で言い放ち投擲に向かった。

まるで祈祷師が龍神の降臨をする際のようなポーズと表情をしたあと、渾身の力で投げた矢は全て50の所に刺さった。

相方「やるやん」
わたし「だから言ったろう、貴様の本気を見せてみろッ!」
相方「うん(冷静)」

その後も接戦は続いた。相方がガチのミスをして点差が大きく開くこともあったが、私の疲労がピークに達し全て外れるという事態もあり僅差で相方が勝利した。

この時点で筋肉痛を確信したので私は少し休憩することにした。
相方はまだまだ体力有り余ってるようで、二人プレイを一人でやって楽しんでた。
相変わらず綺麗な立ち方。
上手く刺さった時のガッツポーズといい、外れた時のアッチャーみたいなポーズといい、どう考えても「大昔にちょっとやっただけ」ではないだろう……。リア充感が半端ない。

結局その途中までやった二人プレイの点数高い方に私が入り、またやった。その時はさすがに、形式上私が勝ったことになった。

そのあとわたモテでやってた0点目指すやつもやった。
もこっちが言った通り、丁度0にならないとか運ゲーなのである。
相方すら早々にバーストして崩れ落ちていた。

一時間ほど楽しみ、疲労困憊お腹激減りで終了。最後まで私は矢を明後日の方向に弾き飛ばし、相方はポテンシャルを発揮していた。

終わり際。

わたし「おトイレ行ってくるわね」
相方「じゃ精算しとくね。おトイレそこやで」
わたし「知っとるぅぅw」

ダーツが散々だったのでそんなところでイキる私。

いやーでも楽しかった。
ダーツ楽しいよダーツ。
今度は一人でクールに行きたいと思います。

家で飲む酒(缶チューハイ)

私はお酒が好きだ。
強いか弱いかでいえば、やや強いといえる。
本当にはちゃめちゃに強い人に比べたら大した事はないけど、弱くはない。

しかし友達が少なく、一人でお店で飲む勇気もないので基本的に家で飲む。
たいていスーパーやコンビニでPBの安いものを買うことが多い。CGCやトップバリュセブン&アイはヘビロテだ。
PBじゃなくても、宝の焼酎ハイボールシリーズや麒麟の特製サワーシリーズは大のお気に入り。新作が出れば必ず飲む。

どちらも爽やかで飲みやすいのが魅力だ。
とはいえどちらもアルコール度数が高いのでそれなりに強い人でなければ「飲みやすい」とは思わないだろうが…。

私はブドウ味のチューハイは味と匂いが濃いので苦手なのだが、この二つはブドウ味も非常に美味しい。チューハイが苦手なだけでジュースやお菓子のブドウ味は普通に好きなので、ブドウ味のものも飲みたいのだ。

麒麟の方はまだ新参者で、種類も少なめである。レモン、ドライ、コーラ、グレープ、ホワイトサワー…そのくらいだと思う。

宝の方は意外と種類豊富で、私はライム味がお気に入りなのだがこのライム味はかなりレアでそんじょそこらのスーパーには売ってない。

ドライとレモンはどこにでもほぼ必ずあり、シークヮーサーもわりとある。他は各店舗の発注担当者の好みやセンスに任されている。

まぁ、わかるよ。そりゃね、店側からすれば確実に売れるドライとレモンは必ずとるだろう。その他のどれが売れるかなんて、読みきれないだろう。私がそうであるようにブドウが苦手な人や、梅味なんかも好きな人はめちゃくちゃ好きだが苦手な人も多いだろう。

でも!

宝のあの焼酎ハイボールシリーズが何種類もある売場を見つけると、私はテンションが上がって色んな種類のを買ってしまう。ライムはもちろんラムネ、ブドウ、梅干し、ゆず、ジンジャー…
買うときはキラキラしながら楽しい気持ちで買うのだ。
飲む時はかなり無感情で飲んでしまうが。

このところは、夜中々眠くならない時…23時~26時の間くらいに「やれやれ、寝られないし酒でも飲むか」と(独り言を)言いながら開ける麒麟の酎ハイにハマっている。

村上春樹ばりに「やれやれ」と言うくらいだから、最初は気だるい感じで仕方なく開けてたのだが最近は狙ってやっている。深夜まで待たないと出来ないので少し面倒なところがあるが、宵っ張りのそこのあなたには是非ともやっていただきたい飲み方である。

焼肉屋に行った時の話

焼肉という食べ物自体は好きだが、焼肉屋というものは少々厄介者である。
食べる為には焼かなくてはいけない。焼くためには注文をしなくてはならない。大勢で行くと必然的に役目が分かれてしまう。

そんな焼肉屋での過ごし方を覚えたのも某古書チェーン店のアルバイトの時であった。

お店からも私の自宅からも近い場所にリーズナブルな焼肉店が出来、店の食事会などで度々訪れることがあった。

最初に行ったのは、元アルバイトで現社員のお兄さんが転勤する際の送別会だっただろうか。
私は家族以外と焼肉屋に来たことがなく、元店長さんが焼きながら喋りながら上手にやってたのにただ惚れ惚れしていただけだった。
私は酒ばかり飲んでいた。
元バイト現社員組は何人かいて、男性が三人だった。みんなお兄ちゃんのような存在だった。
私が酒ばっかり飲んでいるとそれをつっこまれ、「いやでも……マッコリってわりと女子が好きな感じしません?」とよくわからない返答をして「そんなところで女子力強調されても」と戸惑わせたりしていた。マッコリはおいしい。

次は、前記事でのおっかない女店長が去り代わりに来た新店長の歓迎会。
歓迎会だけど机が離れた為、歓迎などはそちらに任せ、しがないバイト同士のテーブル(男ばっか)で(彼らの為に)肉を焼き、私はキムチを喰らいながらハイボールを煽り、当時ムカついてたバイトでの出来事をひたすら愚痴っていた。ただの酒癖悪いおばさんである。

次は、頼りになっていた男性従業員の送別会。
この時も主役とテーブルが離れ、年下男子バイトと同じテーブルとなった。出発前から姉心(母性のようなもの)が発揮され、弟のような男子たちに肉を焼き、勧め、自分は酒を飲みキムチなどを食べていた。

弟たちとは仲が良く、歓送迎会関係なくただ楽しい飲み会としてその焼肉屋に訪問したりもした。
男子三人はわりと酒飲み、うち一人はウワバミレベルだったので、偉い人もいないしくだを巻く為にもたくさん飲ませ、肉を焼く役は私が担った。年下ながらに精神年齢の高い男子がくだを巻いているのを聞いてるのが好きだった。

今ではすっかりそんな機会もなく、最近一度年下の男子と焼肉屋へ行ったが、ノスタルジーに浸って感傷的になってしまった。
甲斐甲斐しく世話を焼きたくとも、その切なさが邪魔をして上手く行かない。愛おしさもある。私は、ただ見ているだけで幸せだった。

自分より、相手に楽しんで欲しい。
皆が楽しければ私も楽しい。
そんな気分にさせてくれるお店だ。焼肉屋って。

TOX2(兄弟)について語る ※ネタバレ

この記事にはテイルズオブエクシリア2のネタバレを大いに含みます。ネタバレ困る方は見ないように。






テイルズシリーズは昔から好きなのだがエクシリアシリーズはまた格別である。そこそこ古参ながら、そこそこ新しいこの作品には深い思い入れがある。
テイルズシリーズそのものの歴史を辿ればなんてこともないが、エクシリアだってもう発売から9年も経っているではないか。

エクシリアは普通に発売日にプレイした。いつも通りに一週間弱でクリアした。最初はジュード編、次はミラ編と実にメジャーな手順でプレイした。
ファーストプレイはいつもそうなのだが、基本的に無感情である。ストーリーもそこまで気にせずプレイする。どのみちファーストプレイでストーリーのすべてを理解するのは不可能なのだから。

一年後、エクシリア2が発売された。
こちらは少し遅れてプレイしたのだがこれにはぶったまげた。

なんだこの重いストーリーは…。

ファーストプレイの「とりあえずクリアしなきゃ」を第一にした無感情プレイをしたくとも、無感情になれなかった。
いや、最初はまだよかった。
いきなり見ず知らずの幼女に痴漢冤罪をかけられても、闇医者に多額の借金を負わされても「ああ今回はそういう話ね」としか思わなかった。
主人公の兄と訳ありげなガタイのいい社長のいる会社も、前回切なく退場したはずのアイツが当たり前のように再登場してもなにも思わなかった(むしろ嬉しかった)。
パラレルワールドの破壊という物語中の主人公の大きな役目すら、私は平然と受け入れた。某平成10作品目ライダーみたいだとかいう感情は、声優さんのおかげで前作ですでにあったのでさほど問題なかった(キバットきょうだい…)。

心が揺れたのは、chapter8だった。
分史世界のキジル海曝。ここで主人公ルドガーの兄、ユリウスが岩に座り、鼻唄を歌っている。
『証の歌』という、主人公の一族に伝わるという曲だそうだ。メロディーラインは美しくも切なく、やや暗い。詞がなくともわかる、悲しい使命を示唆する歌。
その際の兄弟のやり取りや、一族の宿命、やってきたこと、それらを感じることとなり、私は切なさを覚えた。
心のどこかで、この兄弟は幸せになれないんじゃないかと、そう感じていた。

案の定話が進むにつれ、事実が次々発覚していき、その宿命の重さに戦慄するのだが…
ドガーに、それ以上にユリウスに感情移入した私には、その悲しい運命が受け入れ切れなかった。
前作のエクシリアからやってきたのに、ルドガーのあの仕様のおかげで私の心はルドガーと共鳴(リンク)してしまい、兄を犠牲にすることを厭わない仲間が憎らしくさえ思えた。

彼らの家族のことも知っている。ジュードは父親が元アルクノアで、エレンピオス人で……エリーゼは両親を亡くしている。アルヴィンなど、一昔前よくやってたフジテレビの昼ドラのごとき人生を送ってきている。

でも、それがなんだ?
ドガーにとっての家族は、ユリウスだけだ。
母親は故人、父親はあの様だ。未来の娘も確かに大切だけど、これから起こる事なんてのは『今』の自分の選択でしかどうにもならない。
でも、過去は。過去だけは確かで、揺るがなくて、消せないもの。その瞬間があったからこそ『今』の自分が存在しているのだ。

だから……。

「私」が感情移入した「ルドガー」には、ユリウスの大切さが一番にある。
終盤までくれば、ユリウスがどれだけルドガーを想っていたか痛いほどわかる。
世界より、未来の娘?より、ほんの数ヵ月(くらい?)の仲間より、
年端もいかぬ少年時代からずっとそばにいた兄だ。
人の人生で最も尊い青春時代を、一番近くで見てくれていたのは兄ユリウス。
まだ20歳のルドガーにとって、一番そばにいて近くて大切でかけがえないのは兄ユリウスではないのか!?
※感情移入で熱くなっているが私の実年齢はこの時点でルドガーを超えてる


その上での、所見バッドエント…………そして敗北……。



はい。
ゲームはゲームです。
感情よりシステムやステイタスの数値が勝ってしまうのは当たり前。
仲間達に袋にされた私はようやく冷静になり、グシャグシャになった心をなんとか落ち着かせた。
その日、平日なのにな何故か家にいた母に「今からゲームクリアするから部屋に入ってこないでね」と告げ、バッドではないエンディングへ向かった。

心は苦しかったが、ここで「とりあえずクリアしなきゃ」の気持ちが戻り、辛くも正規のルートへ進んだ。

カナンの地(ラスダン)でイライラしつつも、トゥルーエンドを見ることに成功。ノーマルエンドも見る。
それらにも思うことはあるがまぁ割愛。

セーブデータを呼び出し、ステータスを強化し、戦略を練り、再びバッドエンドに挑戦。

そして迎える「血まみれの兄弟」。
いわゆるバッドエントなのだが、私にとってはこれこそがトゥルーエンドだった。
ドガーの顔についた、仲間の返り血が生々しい。
それでも笑顔で、兄を抱き締めるルドガー。それを抱き締め返すユリウス。
二人の心は、もはや崩壊しきっているはずだ。ボロボロで粉々で、それでも形のない光が、静かに暖かく灯ってる。そんな状態。
残り少ない時間を、二人だけで、終わりかけた世界で、過ごした時間だけは、物語のとこよりも尊く愛おしいものだった。間違いない。

このエンディングを見たあと、あまりの悲しさや切なさ、そして尊さに一晩中泣いた。
そしてある曲が頭に流れた。
主題歌を歌う浜崎あゆみの曲『July 1st』。
イベントの場所が港で、海が傍にあったこと。キジル海曝も、海。だからこそこの歌が、やけに沁みるのだ。

明日晴れたら、あの海へ行こう
昨日流した涙の痛みを、優しさに変えて

前作の時点では、エレンピオスに海はなかった。自然は消え失せた土地だったから。
それが、このような大きな決断と別れ(罪)の生まれる場所が海だったのだ。

寄せて返す 波音に
全て洗い流される

あのエンディングの後、ほどなくしてユリウスは亡くなったことでしょう。ルドガーも、大量殺人の罪で死刑になるか、兄を追って自害するか、とにかく明るい未来でないことは明白です。

それでもこの選択が正しかった。二人はそう思いながら今生を終えたのだと、そう信じてやまないのです。

イケメンはいいぞ

私は超絶メンクイでイケメン大好きである。
恐らく女性の大半はそうであろう。
ただし、どういう顔面をイケメンだと思うがは人によるし、人を顔で判断するのは良くないことではある。

私は高校生くらいの時から日曜朝のヒーローものが好きになった。戦隊と仮面ライダー、若手イケメン俳優の登竜門である。
初めて俳優そのものにハマったのは仮面ライダーディケイドで小野寺ユウスケ役を演じた村井良大くんであった。
ディケイドでは、キャラクター的には海東が好きだったのだが、ユウスケの顔面がとにかく好きだった。
当時のあの黒髪、太めの眉、意思の強そうな瞳、それが笑うとなくなる所、やや小柄、だが身体は仕上がっており、延々と見ていられた。
もちろんブログなどで垣間見られる人間性も好きだったのだが、とにかく顔が好きでたまらなかった。
部屋にはA4サイズのカレンダーを貼り、携帯の待ち受けはヒーロー雑誌を写メで撮影したものを設定し、写真集まで買った。

そこまでしたのは村井くんだけだが、その後も私はイケメンに心惹かれていた。

ニチアサヒーローはハマったのが少々遅かったので、過去に遡って見ていた。
ファンブックや雑誌を買い、グラビアをずっと見ていた。
キャラクター補正もあるが、どうやら私は黒髪で眉毛が太めなのが好みらしかった。
仮面ライダー鎧武の主人公なんかもタイプだった。

現実世界ではそうそうそんなハイレベルなイケメンは存在しない。いたとしてもそれは雰囲気でそう見せてるだけで、よく見たらそうでもなかったりする。
本物のイケメンを私は探し求めていた。

年を重ねるにつれ、男性の顔がどうのこうのと言ってられなくなり、やはり性格や甲斐性が大切なのだと思うようになってきた。というか、そうじゃなければいけないのだ。私とて美女ではないのだから。レベルというものがある。

しかし。

性格や甲斐性を見ようとしても、どうしたって見た目を重視してしまう自分に気付いた。
いくら性格がよくても、いくらお金持ちでも、やっぱりイケメンがいいのだ。
逆に言えば、しょうもない男でも顔がよければ惹かれてしまうのである。困ったものだ。

もうこの際現実はどうでもいい。
テレビを点ければイケメンがいる。本屋に行けばイケメンがいる。それでいいじゃないか。
イケメンの美しい顔面がこの目に映り、脳に伝わる。ああ、なんて美しい顔だ。とても素敵だ。幸せだ。
それでいいじゃないか。

私はただのメンクイで、イケメンが大好きなのである。
そんな自分を認めると、イケメンはよりイケメンに見え、幸せは倍増する。
すべての女性におすすめしたい。イケメン好きな自分を認めよ、と。